保険適用の外科的矯正治療

竹山矯正歯科クリニック

新潟市東区・矯正歯科治療専門

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外科的矯正治療とは

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外科的矯正治療の適応となる症例

外科的矯正治療は、顎の手術と歯列矯正を組み合わせた治療のことです。「外科矯正」と言われることもあります。骨格に問題があり、矯正歯科治療単独では改善が難しい場合に、顎の位置や形を変える外科手術(顎矯正手術)を併用してかみ合わせや顔貌の改善を図ります。

具体的には、上下の顎が前後・左右・上下に大きくずれている「顎変形症」という状態で、以下のような症例などが適応となります。

<顎変形症の例>

  • 受け口、しゃくれなど下顎が前方に出ている症例
  • 顎(オトガイ)が無いように見えて、下顎が後方に下がって いる症例
  • 顔面非対称で顎が曲がっている症例

外科的矯正治療適応のポイントは、顎矯正手術を必要とするかどうかです。矯正歯科治療で十分に改善が見込める範囲の受け口などは適応になりません。初診相談の時に院長が診察して明らかに外科的矯正治療の適応症とわかる場合もありますが、多くの場合は精密検査した上で適応かどうかが決定します。

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外科的矯正治療の治療費について

顎変形症の治療は、顎口腔機能診断施設の指定を受けている矯正歯科医院であれば健康保険が適用され、当院は該当しています。

初診相談で外科的矯正治療が適用できると判断した患者さんは、最初から健康保険の適用となりますが、保険と自費のボーダーラインの患者さんや、外科的矯正治療を迷っている患者さんは、確定診断までの検査費用などは一旦自費でのお支払いとなります。

ボーダーラインの患者さんは、精密検査で顎変形症による外科的矯正治療の治療方針が決定し、且つ、患者さんが顎矯正手術を伴う矯正歯科治療の意思があり、手術の依頼先の口腔外科も治療方針を了承した場合、その時点から健康保険適用となります。先に自費でお支払いいただいていた検査費用なども精算いたします。

顎変形症の場合、顎矯正手術前後の当院における矯正歯科治療の費用は、全て健康保険適用となります。 口腔外科での入院・手術入院の費用は、健康保険適用の上、高額療養費制度の対象にもなりますので、ご自身が加入している公的医療保険に申請をすれば医療費の一部が戻ってきます。 詳しくは厚生労働省のホームページ(高額療養費制度を利用される皆さまへ)をご参照ください。 また、医療費控除制度も利用できますので、こちらについては料金表ページまたは国税庁のホームページ(No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例)をご参照ください。

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外科的矯正治療の流れ

1

初診相談(30分から1時間)

院長がお口の中を拝見し、どのような状態かを確認いたします。外科的矯正治療の可能性がある場合は、顎矯正手術や術前術後の矯正歯科治療、保険適用の費用についてもご説明します。

2

精密検査

【検査内容】
  • レントゲン撮影(頭部エックス線規格写真・パノラマエックス線写真など)
  • 写真撮影(口腔内写真・顔貌写真)
  • 歯型採取
  • 唾液検査、歯周病検査
  • 顎・咬合機能診断検査
3

診断・治療計画のご説明

精密検査の結果、外科的矯正治療が必要と診断した場合は、患者さんに詳しくご説明し、外科的矯正治療を適用して治療していくご希望があるかどうかなどをよく話し合います。

4

口腔外科をご紹介

紹介状をご用意しますので、入院・手術の依頼先の口腔外科を受診してください。親知らずなどの抜歯が必要な場合、併せて依頼することも可能です。

5

術前矯正(1~2年)

術前矯正は、顎矯正手術後にきちんとかみ合うような歯並びや歯の向きに整えていきます。従って、一時的に治療前よりもかみ合わせが悪く感じるようになります。

6

入院・手術

術前矯正により手術の見通しが立った段階で、口腔外科を受診していただき、手術日程を決め、手術の詳しい説明や術前の全身検査を受けていただきます。また、麻酔科の診察を受け、自己血貯血(術中の出血に備えて事前に採血して保存しておくこと)なども行います。

入院期間は、手術予定日の数日前から、術後2週間ほどになります(患者さんの快復状況によっては延長する場合があります)。  手術は、全身麻酔下で行われます。顎骨を切断分離後、新たな位置へ移動して、プレートで固定します。

7

術後矯正(1~2年)

術後の腫れなどが引く1~2か月後くらいから、術後矯正を行います。手術後の不安定なかみ合わせを改善し、最終的な歯並びに調整するための矯正歯科治療を行っていきます。

8

矯正歯科治療完了・保定観察へ

歯並びやかみ合わせが整い、矯正装置を外した後は、後戻りが起こらないように保定装置(リテーナー)を付けて経過を観察していきます。

外科的矯正治療例

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受け口・反対咬合(顎変形症)

下顎の突き出た顔貌と前歯の反対咬合にお悩みの患者さんでした。下顎が大きく上顎は小さい、上下顎の骨格的なバランスに起因した不正咬合です。この上顎と下顎のずれを矯正歯科治療単独で改善することは難しく、下顎を後ろに下げ、上顎を前に出す顎矯正手術を併用して、上下の歯列の位置関係と歯並びの治療を行います。

【矯正治療前】

矯正治療前_外科的矯正症例
矢印

【矯正治療後】

矯正治療後_大人症例

外科的矯正治療の場合、まずは術前矯正で顎矯正手術後にきちんとかみ合うような歯並びや歯の向きに整えていきます。 手術後は、新たな顎の位置関係に合わせた歯並びやかみ合わせを作る矯正歯科治療を行います。

治療後は、横顔のバランスも良く、口元はリラックスして、全体的に穏やかな雰囲気が感じられる顔貌となりました。

【診療情報】

■主訴

顎が出ている、受け口

■診断名あるいは症状

顎変形症(上顎後退、下顎前突)

■年齢

43歳

■治療に用いた主な装置

マルチブラケット装置

■抜歯部位

右上の第二大臼歯、左上の第二小臼歯

■治療期間

3年7か月

■治療費概算(自費)

約30万円

■リスク・副作用

  • 個人差はありますが、矯正装置を付けた当初は痛みや不快感があります。
  • 歯を動かす際に歯根吸収や歯肉退縮が起こる場合があります。
  • 矯正歯科治療中は歯磨きがしにくくなるため、むし歯や歯周病のリスクが高くなります。
  • 保定装置をきちんと使用しないと、後戻りが生じやすくなります。

外科的矯正治療Q&A

クエスチョン

術前・術後矯正はどのくらいの期間ですか?

アンサー

術前矯正は、歯の移動量にもよりますが、概ね2年程度です。術後矯正は、症状により1年未満の場合もありますが、通常1~2年ほどかかります。

クエスチョン

顎矯正手術にはどのようなリスクがありますか?

アンサー

全身麻酔を伴う外科手術であり、他の病気やケガの外科手術と同様に予測不可能な手術リスクはあります。出血量が多くなれば輸血を伴いますので、事前に自己血貯血なども行います。 神経が集中している箇所ですので、神経の損傷による顔面の麻痺などが起こるリスクもあります。 手術後しばらくは、顔が腫れたり、口が開きにくい状態になります。手術により口腔環境が変わることで、元々舌癖があった方は舌のコントロールの機能訓練(リハビリ)が必要になることもあります。

クエスチョン

入院日数はどのくらいですか?

アンサー

患者さんの術後の快復状況によりますが、一般的には手術予定日の数日前に入院して、術後2週間ほどで退院になります。

クエスチョン

退院後、どのくらいで日常生活に戻れますか?

アンサー

退院時には、全身状態は良好ですが、顔の腫れ・口が開きにくい・会話しにくいなどの影響はまだ残っています。食事は1か月ほどで通常のものが食べられるようになりますが、それまでは柔らかいものを中心に召し上がってください。 学生や社会人の方は、術後2週間程度で学校や職場に復帰される方が多いようです。

クエスチョン

顎変形症でも手術はせずに、矯正歯科治療のみで治療できますか?

アンサー

症状によっては、治療をお受けすることはできます。 外科的矯正治療の適応症例を矯正歯科治療のみで治療する場合、治療のゴールは全く異なるものになり、治せる範囲は限られます。例えば下あごが出ていて、咬み合わせが反対の場合、程度によっては反対の咬み合わせは直せますが、下あごが出ているのは治らないことが多いです。 また、顎矯正手術をしない場合は、健康保険の適用にはなりませんので、一般の矯正歯科治療同様に自費診療になります。

クエスチョン

外科的矯正治療は何歳から可能ですか?

アンサー

手術は身長の伸びや下顎の成長発育が止まる時期以降に可能となります。個人差はありますが、概ね男性では17〜19歳、女性では15〜17歳以降になります。

クエスチョン

外科的矯正治療はどこの歯科医院でも行えますか?

アンサー

どこでも行っているわけではありません。矯正歯科治療を専門に行っている歯科医院でも、外科的矯正治療は行っていないところも多いです。

健康保険に関しては、顎口腔機能診断施設の指定を受けている歯科医院では適用できますので、ホームページ等で調べてみてください(当院は該当しています)。

外科的矯正治療は、2年前後の術前矯正・顎矯正手術・入院・1~2年の術後矯正という流れとなるため、顎口腔機能診断施設の指定のない歯科医院で健康保険を適用せずに治療する場合は、顎矯正手術も含めて健康保険が適用されないため、一般的な矯正歯科治療費の総額より高くなります。

また、術前矯正を行わず、先に外科手術をする「サージェリーファースト」という手法で顎変形症の治療を行う医院もありますが、その場合も健康保険が適用されず、また高額な治療費設定となっていることが多いようです。